はじめに
「速さは全てを解決する」
この言葉が、今の時代においてどれほど多くの示唆を持つでしょうか。
働き方改革や生産性向上がキーワードとして叫ばれる昨今、いかに「早く効率的に」「質を落とさず」仕事を進められるかが、個人・組織双方にとっての大きな課題となっています。
そんな中、本書『速さは全てを解決する-「ゼロ秒思考」の仕事術』は、著者である赤羽雄二氏のベストセラー『ゼロ秒思考』の続編として、「仕事のスピードを極限まで高める」ための実践ノウハウを詳細に語った書籍になっています。
本記事では、本書の要約とともに、なぜ「速さ」が仕事を変えるのか、どうすれば速さを高められるのか、実践のヒントを交えながら深く掘り下げていきます。
なぜ「速さ」が仕事を解決するのか
本書タイトルのキーワードである「速さ」、すなわち仕事におけるスピードこそが、業務効率・成果・成長を左右する要因であるという著者の主張を整理しておきましょう。
日本人の生産性が低い背景
第1章では、「日本人のホワイトカラーの生産性は本当に低いのか?」という問いからスタートし、仕事の遅さを引き起こす要因を指摘しています。
主な原因としては以下が挙げられます。
- すぐ始められない(着手遅れ)
- やるべきことに集中できない(分散・割り込み)
- 段取りが悪く、後手後手になってしまう
- 優柔不断・迷ってしまう
- 書類・資料作成に時間がかかる
- メール処理に多大な時間を取られる
- 会議が多く、時間が長い
- 差し戻しややり直しが多い
これらが組み合わさることで「同じ時間でも成果が出にくい」「疲れているのに進んでいない」状況が生まれていると著者は言います。
速さがもたらす五つのメリット
続いて、第1章では「速さ」が上がることで具体的に改善できる5つのことを提示しています。
それらは:
- やるべきことにすぐ着手できる
- 頭がよりよく動く
- PDCAを何度も回せる
- やる気が出てくる
- 実力を出せる
たとえば、着手が早ければ“前倒し”で処理でき、余裕をもって質の高い仕事ができる。思考が速く動けば、迷いや停滞が減り、アイデアも出やすくなり、結果として実力を発揮できるというわけです。
速さ=質の低下ではない
ここで注意すべき点として、「速さを上げれば、雑になる/質が落ちる」という誤解があります。しかし著者は「速さは質を落とすどころか、むしろ質を支える基盤になる」と主張しています。つまり、速く動くことで、早い段階で検証や改善を繰り返すことができ、最終的には質の高いアウトプットに近づける、という考え方です。
スピードを上げるための8つの原則
本書の第2章では、速さを上げるために必要な「考え方・態度・方向性」を8つの原則として整理しています。
以下、それぞれの原則を説明しながら、「なぜそれがスピードアップにつながるか」「実際の仕事場面でどう活用できるか」「注意点」まで掘り下げていきます。
原則①:まず全体像を描く
この原則は、仕事を始める前に「アウトプット」「プロセス」「関係者」を明らかにしておく、というものです。
●なぜ速くなるのか
- 全体像が頭に入っていれば、途中で迷ったり不必要な作業を増やしたりするリスクが減る。
- 「どこから手をつけるか」「何は飛ばせるか」「中間確認すべきポイントはどこか」が事前に見えるため、段取りがスムーズになる。
- 関係者への説明・調整が速くなる。
●活用のヒント
- プロジェクト立ち上げ時に「完成までの道筋」を図解する。
- 「何のためにこの仕事をするか」「どんな形で仕上げるか」を10分でも構わないので書き出す。
- 会議や打ち合わせの冒頭で「ゴール確認」を必ず行う。
●注意点
- 全体像を描くことに時間をかけすぎて、むしろ着手が遅れることがある。
- 全体像が変わる可能性も高いため、「仮の全体像」として捉え、柔軟に修正できるようにしておく。
原則②:丁寧にやり過ぎない
この原則は、品質を追い求めるあまり、完璧を目指して時間をかけすぎてしまうという悪循環を避けるものです。
●なぜ速くなるのか
- 完璧主義が作業の停滞原因になる(リデザイン・手戻り・細部の迷い)ため、ある程度「仕上げる」基準を明確にしておけば早く出すことができる。
- 早く出してから修正・改善する方が、最初から手をかけて遅くするよりも結果的に速くなることが多い。
●活用のヒント
- 提出前に「これは80点でいい」「まず動かしてみよう」というマインドを持つ。
- 作業をフェーズ分けし、「フェーズ1:完成形に近づけて出す」「フェーズ2:改善/手直し」という流れをつくる。
- 細かいデザイン・装丁・レイアウトに手をかけすぎる前に、「伝えたいことが伝わる」レベルでまず出す。
●注意点
- 丁寧にやらない=雑という意味ではなく、「必要十分な丁寧さ」を意識することが重要です。
- 業務や成果物の性質によっては、品質をかなり担保すべきケースもあるので、ここを軽視すると逆効果になり得ます。
原則③:仕事のツボを押さえる
「この仕事で本当に押さえるべきポイント(=ツボ)」を把握し、そこに集中するという原則です。
●なぜ速くなるのか
- 仕事の多くの時間は「本質ではない細部・雑務・不要な調整」に費やされていることが多い。
- ツボを押さえておけば、作業の無駄を削減でき、結果として早く仕上がる。
- また、ツボが明確だと優先順位がつきやすくなり、「重要なことからやる」習慣がつく。
●活用のヒント
- プロジェクト開始時に「この仕事で絶対に結果として出したいポイント3つ」を定める。
- 日々のタスク一覧に「ツボかどうか」をチェックし、優先度をつける。
- 定例ミーティング等で「本質的な議題か」「単なる確認か」を見極めて、会議時間を短くする。
●注意点
- ツボが分かりにくい仕事もあるため、初期段階で関係者と共有・確認しておく。
- あまりにツボばかりを意識して、周囲との整合性・調整事項を軽視しないように。
原則④:好循環をつくる
この原則は、「速く仕事をする→成果が出る→モチベーション上がる→更に速く仕事できる」という好循環を仕組み化するというものです。
●なぜ速くなるのか
- スピードアップが一時的な偶然ではなく、習慣・メカニズムとして定着すれば、継続的に速く仕事できるようになる。
- やる気・頭の回転・アウトプットの質が上がることで、次第に「速さ+質」の両立が可能になる。
●活用のヒント
- 毎日の終わりに「今日速くできた仕事は何か」「その理由は何か」を振り返る。
- 小さな成功体験を必ず捉えて記録・共有することで、自分だけでなくチームにも好循環を広げる。
- 無駄が少ない仕事スタイルを反復することで、速さが“当たり前”になる。
●注意点
- 好循環をつくるには、速さを上げるだけでなく「質を保つ」「振り返る」「改善する」ことが必要。
- 速さだけを追うあまり、疲弊・ミスが増えてしまうと逆効果。好循環を維持するための“休息”や“振り返り”も忘れずに。
原則⑤:工夫の仕方を工夫する
「工夫する」のではなく、「どう効果的に工夫すれば速くなるか」を工夫するというメタ思考の原則です。
●なぜ速くなるのか
- 単に「毎回頑張っている」だけでは、成長が頭打ちになりやすい。工夫の仕方自体をアップデートすれば、時間あたりの成果が上がる。
- 自分の仕事プロセスを俯瞰し、「どこがボトルネックか」「どうすれば短縮できるか」を常に考えることで、自然とスピードが上がる。
●活用のヒント
- 定期的に「作業プロセス改善会議」を自分またはチームで開く。何に時間がかかっているのかを洗い出す。
- テンプレート化・仕組み化・チェックリスト化など“工夫が工夫されている”状態を目指す。
- 成功した工夫はドキュメント化し、誰でも再利用可能な形にしておく。
●注意点
- 工夫のために工夫ばかりしていて、実際の仕事が滞るという“分析麻痺”にならないように。
- 他人の工夫を丸ごと真似するのではなく、自分の仕事・業務環境に最適化することが大切。
原則⑥:前倒しする
これは、着手を早める/完了を予定より早くする意識を持つという原則です。
●なぜ速くなるのか
- 着手が遅れると手戻り・調整・雑務が発生しやすくなる。前倒しで進めることで、その分 “バッファ” を確保でき、突発的な障害・修正にも余裕をもって対応できる。
- 完了を予定より早めに設定すること自体が、行動を促し、タスクを先送りしにくくする。
●活用のヒント
- タスクやプロジェクトの期限を設ける時、「その期限より1日~数日早める」スタンスで設定する。
- 着手から完了までのスケジュールを逆算(ゴールから逆に日程を組む)。
- 障害・手戻りを想定して、「バッファ日数」を確保する。
●注意点
- 前倒しだけ意識して品質が犠牲になったり、チームとの合意を得ずに完成してしまい、齟齬が生じないよう注意。
- バッファを設けすぎて、逆に余裕がありすぎてスピード感が落ちるというバランスの取り方も重要。
原則⑦:一歩先んじる
「誰よりも先に」「次の手を用意しておく」ことを意識する原則です。
●なぜ速くなるのか
- 次の手を予め準備しておくことで、待ち時間(他人の対応待ち・情報取得待ち)を減らすことができる。
- 他者が反応してから動くのではなく、自分が先に動くことでリズムを作り、仕事の流れを主導できる。
●活用のヒント
- 会議・打ち合わせの前に「想定問答」「次の課題」「必要な資料」を用意しておく。
- メールやチャットでのやりとりの際、「次に何を聞かれるか」「次何を出すべきか」を常に想像しながら動く。
- プロジェクト途中で「今後起こるであろう問題」を洗い出し、仮対応案を準備しておく。
●注意点
- 次を用意しすぎて「今」を疎かにすると、首尾一貫性を欠くことも。今‐次のバランスを取ることが大切。
- “先んじる”ことが他人から“横取り”と受け取られないよう、チーム・関係者への配慮も重要。
原則⑧:二度手間を全力で避ける
最後の原則は、まさに速さを上げるうえで最も“レバレッジ”が効く部分です。二度手間・やり直し・確認待ちの発生を避ける意識を徹底する、というものです。
●なぜ速くなるのか
- 二度手間が発生すると、単に時間が倍になるだけでなく心理的な遅滞・モチベーション低下も招きがち。
- 二度手間を避けることで、時間だけでなく“思考のリズム”も乱されず、スムーズな連続作業が可能になる。
●活用のヒント
- 作業に入る前に「手戻り・やり直しの原因を洗い出す」チェックリストを用意する。
- 合意・仕様・アウトプットイメージなどを事前に定義・共有しておく。
- 定期的に進捗共有し、方向ズレを早期に発見・修正する。
- “この作業、後で見直される可能性があるか”“チェックを要する箇所はどこか”を常に意識する。
●注意点
- 二度手間を避けようとするあまり、過度に確認・修正を繰り返してしまうと逆に遅くなることも。
- チームメンバーや関係者が「この仕様変更をいつ言うのか」を事前に共有しておかないと、結局手戻りが発生する。コミュニケーションの設計も重要。
思考とノウハウで速く動く
第3章と第4章では、「思考のスピードを上げる」ための方法と、「効率とスピードを極める」具体的ノウハウが紹介されています。ここでは代表的な内容をいくつかピックアップし、実務で使えるヒントとして整理します。
「メモ書き」でゼロ秒思考を目指す
本書では、著書『ゼロ秒思考』で紹介された「A4用紙1枚に1分以内で思考を可視化する」メモ書きスタイルが再び登場し、仕事のスピードを上げる基盤として位置づけられています。
具体的には:
- 頭の中で考えを巡らせているだけでは時間がかかる → 紙(またはデジタル)に即書き出す
- 書き出すことで「考えていた」から「考えた」「可視化した」段階に移る
- 書き出した後、即整理・まとめ・行動へ繋げる
この習慣がついていると、「考えが止まる時間」「迷う時間」「決められずに居続ける時間」が大幅に減ります。レビューでも「仕事の質とスピードを同時に高めたい人にとって、最初の実践としてこのメモ書きが有効」と紹介されています。
仮説思考・ゼロベース思考・深掘り
思考を速めるためには、ただ早く動くだけではなく、質の高い思考を速く回すことが鍵です。そのために本書では次のような思考法を紹介しています。
- 仮説思考:問題解決にあたって、まず仮説を立て、それを検証していく。仮説があれば探るべきポイントが明確になり、無駄な時間を取らず済む。
- ゼロベース思考:既存の枠や前提を疑い、「なぜ?」を自分に問い直す。既成概念に縛られずに本質へ迫る。
- 深掘り:好意や尊敬を前提に、質問を重ねて真実に到達する。浅い理解で済ませず、「なぜこのデータ/仮説なのか」を掘る。
これらをスピードアップの文脈で運用することにより、「思考が止まる」「迷ってしまう」「要らぬ議論に時間を取られる」といった遅さの原因を潰します。
情報収集・資料作成・会議・メールの効率化
第4章では、日常業務で時間を食ってしまう典型項目(情報収集/書類・資料作成/会議/メール/コミュニケーション)それぞれについて、速さを上げるノウハウが列挙されています。内容を要約すると以下のようになります。
- 情報収集:毎朝・毎晩30分を情報インプットに割り当てる。通勤時間に英語や読書をする。検索表示数を100件にして別ウィンドウ活用。 etc.
- 書類・資料作成:まず「メモ書き」でアウトプットイメージを作る。上司に全体像確認しながら進める。ブラインドタッチ・ショートカットキーを活用。ネットを切って集中。 etc.
- 会議:会議時間を半分にする。出席者を半減。ホワイトボード活用で議論を素早く。 etc.
- メール:メールは「すぐ返信」。難しいものでも素早く書き始める。単語登録を200〜300個する。メールは日付順に一括保管。 etc.
- コミュニケーション:話を丁寧に聞くことで結果的に速く進む。伝えるべきことを3~4点メモ。合意事項を書面で共有。 etc.
いずれも“速さを出す”ための具体的な工夫であり、実践すれば「仕事が遅い」「何時間も悩んでしまう」という悩みに明確な答えを与えてくれます。
実践に落とし込む:速さを高めるための4ステップ
ここまで本書の概要を説明しましたが、では「では今日から何をすればいいか?」という実践的な落とし込みとして、4ステップで整理します。
ステップ1:現状を把握し「遅さの原因」を書き出す
まずは「自分の仕事が遅いと感じる理由」を紙に書き出します。たとえば、「資料作成に1日かかる」「メール返信に30分以上悩む」「会議で議題が定まらずダラダラする」など。
次にその原因を「着手が遅い」「段取りが悪い」「優柔不断」「工夫が少ない」「やり直しが多い」など本書が示す原因群に当てはめて整理してみましょう。
このプロセスは「第1章」で示された遅さの原因を自己に当てはめる作業です。
ステップ2:8つの原則から優先すべきものを選ぶ
次に、本書の「第2章:スピードを上げるための8つの原則」の中から、自分にとって最も効果がありそうな2〜3項目を選びます。たとえば、以下のようになるでしょう。
- 着手が遅い→「前倒しする」
- 段取りが悪い→「まず全体像を描く」
- やり直しが多い→「二度手間を避ける」
選んだ原則について「今週からこう実践する」という行動プランを立てると効果的です。
ステップ3:思考と業務ノウハウを取り入れる
ここでは第3章・第4章から、自分に合った“思考法”と“ノウハウ”を1つずつ実践に乗せます。例を挙げると:
- 思考法:毎朝出社直後にA4用紙を1枚用意し、「本日のToDo+着手時間+仮説」を1分以内で書き出す(メモ書き習慣)
- ノウハウ:メール返信には「まず3行で結論→詳細を後段」という形式を決め、単語登録を50個増やす
こうして“速さを出すための仕組み”を日常業務に落とし込みます。
ステップ4:振り返りと好循環をつくる
最後に、毎週末に「どれだけ速く動けたか」「何が引っかかったか」「次はどう改善するか」を振り返ります。これが“PDCAを何度も回せる”という第1章のメリットの核心部分です。
振り返りを通じて、速さという“習慣”を身に付けていきましょう。そして「速さが上がる → 成果が出る → モチベーションが上がる →さらに速く動ける」という好循環をつくることが、最終的な目標です。
読者へのおすすめタイプと活用シーン
本書を特におすすめしたい読者像、また活用シーンを整理しておきます。
推奨読者
- 仕事が遅く、いつも時間が足りないと感じているビジネスパーソン
- 資料作成・メール・会議・情報収集など“ホワイトカラー業務”の効率化を図りたい人
- 「思考の質を上げたい」「アイデアを出したい」「行動力を高めたい」と考えている人
- 若手〜中堅層で、これから成果を出したい・キャリアを加速させたい人
活用シーン
- 朝一番に「その日の全体像」を10分で整理 → 着手スピードを上げる
- 資料作成の際に「アウトプットのイメージ」を先に紙に書く → 段取りの無駄を削減
- 会議のスケジューリングを見直し、時間を半分にする仕組みを試す
- メール返信テンプレートと単語登録を強化 → 30分→10分というように返信時間を短縮
- 週1回、振り返りの時間を設け、「速さを上げるために何を変えたか」を記録
これらを本書の理論と組み合わせて実践すれば、仕事の「速さ」という軸を武器にできるでしょう。
まとめ:速さを“武器”にするために
『速さは全てを解決する―「ゼロ秒思考」の仕事術』は、単に「早く仕事をする」ためのテクニック集ではありません。「速度を高めること」で思考力・実行力・成果力を高めるという、より本質的な仕事術を教えてくれます。
私たちはしばしば「忙しい」「時間がない」という言い訳を口にします。しかし本書が示すのは、「時間がないなら、速く動くしかない」ということではなく、「速さを高める仕組みを作っておけば、結果的に時間を創出できる」という逆の発想です。速さを武器にできれば、あなたの仕事は“量”も“質”も変わる可能性があります。
以下、最後に本書を活かすための「3つの提案」を記して締めくくります。
- まず、速さを測る習慣を持つ 仕事にかかっている時間、迷っている時間、手戻りの件数などを可視化しましょう。数値や記録があれば、改善ポイントが明確になります。
- ひとつの原則から実践を始める 本書にある8つの原則の中から、自分にとって最も効果がありそうなものを1つ選び、「今週、この原則を意識して仕事を進める」ことをルール化しましょう。
- 振り返りと改善を習慣にする 毎週1回、「何が速く動けたか/何がボトルネックだったか」「次はどう改善するか」を振り返り、改善案を紙に書き出す。これが好循環を生み、速さが定着します。
このように、速さは「目的」ではなく「手段」です。速さを上げることで、あなたの思考がクリアになり、成果が上がり、仕事が楽しくなります。そして何より、速さこそが“変化の時代”において、自分自身の価値を高める強力な武器となるのです。

