問題解決の8ステップとは、トヨタの現場で発案された問題解決手法のことです。
各ステップは以下のようになっています。
①問題の明確化
②現状把握
③目標設定
④要因解析
⑤対策立案
⑥対策実施
⑦効果確認
⑧標準化・横展開
各プロセスを詳しく見ていきましょう。
Step①問題の明確化
まずStep①では、あるべき姿と現状とのギャップを「問題」と定義し、どのような問題に対処するのか考えます。あるべき姿としては目標や基準などが挙げられます。
例えばあなたの部署の売上が目標に達していない場合、その足りていない差分を問題として定義します。
Step②以降で問題の分析・深堀りを行うため、このステップではまだざっくりとした大きな問題提起でかまいません。
もしあなたの部署における問題を複数リストアップできた場合は、「重要度」「緊急度」「拡大傾向」の3つの視点から、Step②以降でどの問題に取り組むべきか、総合的に判断をします。
重要度:問題が影響を及ぼす範囲の大きさ
緊急度:すぐに手を打たないとどんな影響があるか
拡大傾向:問題を放置した場合どれだけ拡大するか
Step②現状把握
Step②では「Step①問題の明確化」で考えた問題を層別して、具体的にどのような問題があるのかを現状把握します。
さきほどの売上が予算に達していないケースでは、顧客A社・B社・C社の売上をそれぞれ確認し、「どの顧客が売上目標に達していないのか」を検証します。
もし仮にB社が一番大きく影響を与えている場合、「B社に販売しているどの製品が課題となっているのか」さらに細分化して検証します。
このように「Step①問題の明確化」で挙げた大きな問題に対して、ボトルネックがどこにあるのかを階層を掘り下げて具体的に分析するフェーズが「Step②現状把握」になります。
層別の切り口はたくさんありますが、うまく思いつかない場合は下記4Wの視点から考えてみると良いでしょう。
What(何が):製品別
Where(どこで):工場別・部署別
When(いつ):月別・日別・時間帯別
Who(誰が):作業者別
また、3Cや4Pといったフレームワークを使用しても良いかもしれません。
Step③目標設定
Step③では「いつまでに何をどれだけ改善をするのか」目標設定を行います。
ここではあとで振り返りができるよう、可能な限り定量的に数字で目標設定することが望ましいです。
注意ポイントは、「Step①問題の明確化」で挙げた問題ではなく、「Step②現状把握」で層別した具体的な問題に対しての目標を設定しなければならないということです。
×悪い例
会社の売上を20%上げる
○良い例
B事業の主力製品XXの売上を今年中に前年度比で30%上げる
Step④要因解析
Step④では「Step②現状把握」で層別してあぶり出した解決すべき問題に対して「なぜなぜ分析」を繰り返し、問題の真因を突き詰めていきます。
ここで真因に迫ることができないとStep⑤以降で中途半端な対策に終わってしまうため、おそらく8ステップの中で一番重要なステップと言っても過言ではないでしょう。
そのためのポイントが以下になります。
特性要因図を用いて複数の要因を洗い出す
因果関係は逆から読んでも成り立つか検証をする
他責思考に陥らない
Step⑤対策立案
Step⑤では「Step④要因解析」のステップで突き詰めた問題の真因に対する対策を立案します。
もし上記ステップで複数の要因が洗い出されている場合は、それぞれの要因に対して対策案を考えることになります。
Step⑥対策実施
Step⑥ではStep⑤で考えた対策案を実施します。
Step⑦効果確認
Step⑦では効果の確認を行います。
「Step③目標設定」で掲げた定量的な目標に対してどのような効果が得られたのかを振り返ります。
Step⑧標準化・横展開
最後のStep⑧では標準化・横展開を行います。
「標準化」とはルール化のようなもので、今後同じ問題が発生しないようにマニュアルなどに落とし込むことが例として挙げられます。
また、類似の問題が社内に転がっていれば、同様の対策を講じることでさらなる改善が進むかもしれません。このように他のケースに適用範囲を広げることを「横展開(略して横展)」と言います。
以上が問題解決の8ステップの流れになります。
ビジネスシーンにおける問題解決能力を高めるために、ぜひこの8つのプロセスを参考にしていただければと思います。
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