トヨタのプラットフォーム戦略
トヨタは従来多種多様で煩雑になっていた車台構成を統合・共通化する目的で、TNGA(Toyota New Global Architecture) と呼ばれるプラットフォームを2015年に開発しました。TNGA は「シャシー」「パワートレイン」などを統合的に設計することで、開発・製造コストを削減することができるため、従来のプラットフォームを置き換える形で広がっています。
TNGAの特徴と技術的ポイント
1. 低重心・高剛性ボディ
TNGAではエンジン搭載位置を低くし、重心を下げることで走行安定性が大幅に向上。またボディ剛性も高まり、コーナリング時のふらつきが少なくなりました。
2. ドライバー中心の設計
運転席のポジションを最適化し、視界を広く確保。ドライバーとクルマが「一体化」するような操縦感覚を実現しています。
3. 新開発エンジン・トランスミッション
燃焼効率を高めたダイナミックフォースエンジンや、スムーズな加速を可能にするDirect Shift-CVTを採用。これにより、燃費性能と走りの楽しさを両立しました。
4. 安全性能の進化
TNGAは構造的に衝突エネルギーを分散しやすく、最新のToyota Safety Sense(先進安全装備)とも高い親和性を持ちます。
以下に、主要なプラットフォームと、代表的な車種をまとめます。
TNGA-B(通称:Bプラ)
コンパクト車向け
- ヤリス
- ヤリス クロス
- アクア
- GRヤリス
TNGA-C(通称:Cプラ)
ミドルサイズ車向け
- プリウス
- カローラ
- カローラ スポーツ
- カローラ ツーリング
- カローラ クロス
- C-HR
- ノア
- ヴォクシー
- レクサス UX
TNGA-K(通称:Kプラ)
SUV・ミニバン向け
- RAV4
- ハリアー
- クラウン クロスオーバー
- クラウン スポーツ
- カムリ
- レクサス NX
- レクサス RX
TNGA-L(通称:Lプラ)
「L」はLuxury(ラグジュアリー)の略で、高級車向け
- レクサス LS
- レクサス LC
- ミライ
TNGA-F(通称:Fプラ)
ラダーフレーム構造のSUV向け
- ランドクルーザー 70
- ランドクルーザー 250
- ランドクルーザー 300
- レクサス LX
e-TNGA(BEV専用プラットフォーム)
BEV(電気自動車)向け
- bZ4X
- レクサス RZ
ただし、TNGA 未導入モデルも依然として残っており、上記以外の一部車種においては、従来プラットフォームを使い続けるケースもあります。