この記事では自動車業界、特にトヨタで使用される用語を、アルファベット順・50音順に一覧にしてまとめています。
順次更新をしていきますので、辞書代わりに参照していただけると幸いです。
- BCP
- BluE Nexus
- BOM
- CKD
- e-Axle
- ECI
- IMV
- KYT
- L/O
- ppm
- QCサークル
- QC7つ道具(QCななつどうぐ)
- SCRM
- SKD
- SQCD
- SSA
- STOP6
- TMC
- TMEJ
- TMK
- TNGA
- TPS
- VA
- VE
- ZEV
- アンドン
- 可動率(かどうりつ)
- 稼働率(かどうりつ)
- 通い箱(かよいばこ)
- かんばん
- かんばんサイクル
- 現地・現物・現実(げんち・げんぶつ・げんじつ)
- 現調化(げんちょうか)
- 号口(ごうぐち)
- 号試(ごうし)
- 5S
- コロコン
- サイクルタイム
- 材調(ざいちょう)
- 作業標準(さぎょうひょうじゅん)
- ▽E(さんかくE)
- ▽R(さんかくR)
- ▽S(さんかくS)
- 自働化(じどうか)
- 車種コード(しゃしゅこーど)
- ジャストインタイム
- 省人化(しょうじんか)
- 少人化(しょうにんか)
- 初期管理(しょきかんり)
- 新QC7つ道具(しんQCななつどうぐ)
- 正式図(せいしきず)
- タクトタイム
- 多台持ち(ただいもち)
- 段替え(だんがえ)
- 調達物流(ちょうたつぶつりゅう)
- 特定調達(とくていちょうたつ)
- なぜなぜ分析(なぜなぜぶんせき)
- 7つのムダ
- 日調品(にっちょうひん)
- 年計(ねんけい)
- ◯A(まるA)
- ◯C(まるC)
- ◯F(まるF)
- ◯K(まるK)
- ◯M(まるM)
- ◯P(まるP)
- ◯R(まるR)
- ◯T(まるT)
- ◯W(まるW)
- ◯カ(まるカ)
- ◯マ(まるマ)
- ◯モ(まるモ)
- マルチパスウェイ
- ミルクラン
- 初物(はつもの)
- 標準(ひょうじゅん)
- 標準作業(ひょうじゅんさぎょう)
- プラットフォーム
- 平準化生産(へいじゅんかせいさん)
- ポカヨケ
- 補給(ほきゅう)
- 臨時かんばん(りんじかんばん)
- 横展(よこてん)
- 4M
BCP
Business Continuity Plan(事業継続計画)の略。紛争や災害、サプライヤーの倒産など有事の際に備えて、対策案を整備したもの。
BluE Nexus
ブルーイーネクサスと読む、トヨタ・デンソー・アイシンが共同出資して2019年に設立された、e-Axleを開発している会社。位置づけは、BluE NexusがTier1サプライヤー(開発)、デンソー・アイシンがTier2サプライヤー(製造)となっている。
BOM
Bill Of Material(部品表もしくは部品構成表)の略。車種ごとにどの部品が使用されているかをまとめたデータベースのこと。調達計画や原価計画に使用される。
CKD
Complete Knock Downの略。部品単位で輸出し、海外現地でボデー溶接・塗装・組立を行うこと。
e-Axle
BEVなどのモーターを主動力とする車が走るために必要な主要部品を1つにまとめたもの。主にトランスミッション・モーター・インバーターといった部品から構成される。トヨタ系ではBluE Nexus・アイシン・デンソーがメインサプライヤー。
ECI
Engineering Change Instruction(設変切替依頼書)の略。サプライヤーを含むトヨタ社内外の関係部署に、設計変更の内容を通知するための帳票のこと。
IMV
Innovative International Multipurpose Vehicleの略。主にアジア圏で販売される、プラットフォームが共通化された車種を指す。
KYT
危険予知トレーニングの略。グループ単位でイラストシートをもとに危険要因を探し、特に危険と思われる要因の対策を考える問題解決手法の1つ。「KY」だけでも同義で使われる。
L/O
Line Offの略。製品や車種の立ち上げタイミングのことで、Start Of Productionを略してSOPと呼ぶこともある。
ppm
perts per million(100万分の1)の略。主に品質不具合の発生率を表す際に使われる単位。
QCサークル
Quality Control サークルの略。改善活動を自主的に進めるためのサークルで、4~5人ほどのメンバーで構成される。
QC7つ道具(QCななつどうぐ)
QCサークルが、問題の把握から改善までの活動を行う各段階において使用される手法のこと。グラフ・管理図・ヒストグラム・チェックシート・パレート図・特性要因図・散布図の7つを指す。現在は「新QC7つ道具」と呼ばれる、別の7つのツールも存在する。
SCRM
Supply Chain Risk Managementの略。サプライチェーンにおけるリスクを管理し、BCP(事業継続計画)を担保するための取り組みのこと。トヨタ系では富士通のSCRKeeperというシステムがメインで使用される。
SKD
Semi Knock Downの略。日本でボデー溶接・塗装までを行い、海外現地で組立を行うこと。
SQCD
製造業において重要な、Safety(安全)・Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の頭文字を、重要な順に取ったもの。
SSA
Smart Standard Activity(品質性能適正化活動)の略。製品への要求条件を見直すことで、過剰品質やそれに伴う生産面の負担を軽減し、原価低減に繋げることが狙い。
STOP6
トヨタが啓蒙する重大災害を防ぐための活動のこと。Actuator(動力挟まれ)・Block(重量物落下)・Car(車両接触)・Drop(高所からの転落)・Electricity(感電)・Fire(火傷)の6つを重大災害としている。
TMC
トヨタ自動車株式会社の略。本社所在地は愛知県豊田市。
TMEJ
トヨタ自動車東日本株式会社の略。本社所在地は宮城県黒川郡。アクア・ヤリス・シエンタ・カローラシリーズ等を生産している。
TMK
トヨタ自動車九州株式会社の略。本社所在地は福岡県。レクサスシリーズを生産している。
TNGA
Toyota New Global Architectureの略。車種ごとにプラットフォームを分けるのではなく、同等サイズの車種別に共通のプラットフォームを採用することで、開発コストを低減することが可能となっている。
TPS
Toyoya Production System(トヨタ生産方式)の略。「自働化」と「ジャストインタイム」の2本柱から成る。
VA
Value Analysis(価値分析)の略。図面や仕様書の変更、製造方法の効率化などを行い、コストを低減する活動のこと。号口生産以降に行われる。
VE
Value Engineering(価値工学)の略。図面や仕様書の変更、製造方法の効率化などを行い、コストを低減する組織的な活動のこと。設計開発段階に行われる。
ZEV
Zero Emission Vehicleの略。PHEV・BEV・FCEVのような排気ガスを出さない車を指す。
アンドン
異常が発生した際、即時に関係者に知らせることができるようにライン上に設置された電光表示盤のこと。
可動率(かどうりつ)
可動率が100%の場合、設備を動かしたいときに、いつでも動かせる状態を指す。ジャストインタイムの観点からは、可動率は常に100%が理想。
稼働率(かどうりつ)
ある設備のMAXの生産能力を100%とした際に、どれだけ需要があるかを表す割合。
通い箱(かよいばこ)
トヨタとサプライヤー間で部品や製品の輸送に使用される、プラスチック製の丈夫な容器のこと。
かんばん
後工程が前工程へ部品を発注する際に使用する、長方形の紙のこと。大きく「仕掛けかんばん」と「引取りかんばん」に分けられる。
かんばんサイクル
製品の納入頻度・納入タイミングを「X-X-X」で表したもので、かんばん係数や納入サイクルとも呼ばれる。例えば「1-3-2」であれば、1日に3回の納入便があり、かんばんが引き取られてから2便遅れのタイミングでその製品が納入される。
現地・現物・現実(げんち・げんぶつ・げんじつ)
現場の現物を見ることで初めて現実が分かる、という考え方のこと。3つをまとめて「三現主義」とも呼ばれる。
現調化(げんちょうか)
海外工場での製造のために、現地サプライヤーから調達する部品のこと。一方で日本で調達して輸出される部品のことは日調品と呼ばれる。
号口(ごうぐち)
量産すること、もしくは市場で販売中の量産車のこと。
号試(ごうし)
号口試作のこと。設計開発が終わったフェーズにおいて、量産ラインと同一工程で試作車を造ること。「1A」とも呼ぶ。
5S
整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)のこと。
コロコン
棚板部分にフリーローラーを使い、通い箱が取出し側へ自らの重さで移動していくように作られた部品棚のこと。
サイクルタイム
1つの製品の工程開始から終了までの1サイクルにおいて、実際にかかる時間のこと。「サイクルタイム=稼働時間/実際の生産数」で求められる。
類似用語のタクトタイムは、1つの製品の工程開始から終了までの1サイクルを、どれだけの時間で終わらせなければならないかという目標時間のこと。「タクトタイム=稼働時間/必要生産数」で求められる。
材調(ざいちょう)
金属材料部品の基礎調査の略。熱処理後の部品の表面硬さ・内部硬さ・肌焼き深さ・金属組織などを調査すること。
作業標準(さぎょうひょうじゅん)
標準作業を正しく実施していくために定められた、作業手順や条件をマニュアルにしたもの。「作業要領書」「作業指導書」「品質チェック要領書」などがある。
▽E(さんかくE)
EはEmission(排出)の略。排出ガス特性表示記号で、排出ガス特性を含む図面等に記載される。
▽R(さんかくR)
RはRegulation(規制)の略。法規特性表示記号で、法規特性を含む図面等に記載される。
▽S(さんかくS)
SはSafety(安全)の略。保安特性表示記号で、保安特性を含む図面等に記載される。
自働化(じどうか)
製造工程で問題が発生した際に、機械が自動で停止する仕組みのこと。人間の知恵を利用して改善が行われることから「自動化」ではなく「自働化」と呼ぶ。
車種コード(しゃしゅこーど)
車種ごとに付与された4桁のコードのこと。1-3桁目は数字、4桁目はアルファベットが付与される。機密性を高めるため、同じ車種でも、開発段階の試作コードと量産段階の号口コードで付与されるコードが異なる。
ジャストインタイム
「自働化」と並びTPS(トヨタ生産方式)を支える2本柱の1つで、必要なものを必要なときに必要な分だけ生産するという考え。「後工程引取り」「工程の流れ化」「必要数でタクトを決める」の3つの基本原則から成る。
省人化(しょうじんか)
改善により能率(生産効率)をアップさせ、同じ生産量に必要な人員を削減すること。削減できた人員は他の業務に割り当てられる。
少人化(しょうにんか)
省人化を達成したうえで、生産量に応じて、柔軟に人員を削減(場合によっては増員)すること。省人化+αの考え方とも言える。
初期管理(しょきかんり)
品質確保を目的とした活動のこと。新規号口品の生産開始時や、設計変更・工程変更時に不具合に適切に対応できるように管理を行う。「初品管理」や「初期流動品管理」とも言い、管理対象の初期流動品を「初品」と呼ぶ。初期管理期間は1~3カ月程度が一般的。
新QC7つ道具(しんQCななつどうぐ)
数値化が難しい定性的なデータを分析するための手法。親和図法・連関図法・系統図法・マトリックス図法・アローダイアグラム・PDPC法・マトリックスデータ解析法の7つを指す。
正式図(せいしきず)
号試・号口生産を目的とした図面のこと。トヨタ設計部署で作成したトヨタ図と、サプライヤーが作成しトヨタ設計部署が承認した承認図がある。
タクトタイム
1つの製品の工程開始から終了までの1サイクルを、どれだけの時間で終わらせなければならないかという目標時間のこと。「タクトタイム=稼働時間/必要生産数」で求められる。
類似用語のサイクルタイムは、1つの製品の工程開始から終了までの1サイクルにおいて、実際にかかる時間のこと。「サイクルタイム=稼働時間/実際の生産数」で求められる。
多台持ち(ただいもち)
製造ラインにおいて、類似性のある設備を近くに配置し、1人の作業者が複数設備を受け持つこと。「横持ち」とも呼ぶ。
段替え(だんがえ)
部品の加工が終わった際に、次の部品を製造するために金型や治具、刀具を交換する作業のこと。「段取り替え」とも呼ぶ。
調達物流(ちょうたつぶつりゅう)
各サプライヤーを1台のトラックが順番に回り、製品を引き取るという納入形態の1つ。アメリカで牛乳配送を効率的に行うため、1台の車が各家庭を順番に回った配送方法に由来する。「ミルクラン」とも呼ぶ。
特定調達(とくていちょうたつ)
社外から部品を購入すること、またはその際に使用されるシステムのこと。略して特調とも呼ばれる。
なぜなぜ分析(なぜなぜぶんせき)
問題が発生した際に、問題の真因に迫るために「なぜ?」という自問自答を繰り返すという手法。5回「なぜ?」を繰り返すことで、表面的な原因ではなく、原因の根幹にある真因をあぶり出すことができ、問題の再発を繰り返さない根本的解決に繋がるという考えに基づく。
7つのムダ
造りすぎのムダ・手待ちのムダ・運搬のムダ・加工のムダ・在庫のムダ・動作のムダ・手直しのムダのこと。
日調品(にっちょうひん)
海外工場での製造のために、日本から調達する部品のこと。一方で現地で調達する部品のことは現調品と呼ばれる。
年計(ねんけい)
年間計画の略。今後2-3年間の生産計画をまとめたもので、これに基づきサプライヤーは生産能力の増強などを行う。
◯A(まるA)
英語のAssemblyから取った、組立工程の略称。
◯C(まるC)
英語のCastingから取った、鋳造工程の略称。
◯F(まるF)
英語のForgingから取った、鍛造工程の略称。
◯K(まるK)
日本語の組み付け(Kumitsuke)から取った、機械組付工程の略称。
◯M(まるM)
英語のMachiningから取った、機械加工工程の略称。
◯P(まるP)
英語のPressから取った、鋼板のプレス工程の略称。
◯R(まるR)
英語のResinから取った、成形樹脂工程の略称。
◯T(まるT)
日本語の塗装(Tosou)から取った、塗装工程の略称。
◯W(まるW)
英語のWeldingから取った、溶接工程の略称。
◯カ(まるカ)
改良の略称。既存車種において、不具合対策や法規制対応のために行われる軽微な改良を指す。マイナーチェンジよりもさらに小さな変更である。
◯マ(まるマ)
マイナーチェンジの略称。既存車種において、商品力を強化する目的でボデー・エンジン・トランスミッションなどの一部に変更を加えることを指す。
◯モ(まるモ)
モデルチェンジの略称。外観や室内のデザイン、ボデー構造などが全面的に変更されることが多い。
マルチパスウェイ
HEV・PHEV・BEV・FCEVなど複数のバリエーションの車種をラインナップしていくという、トヨタが掲げる販売戦略のこと。
ミルクラン
各サプライヤーを1台のトラックが順番に回り、製品を引き取るという納入形態の1つ。アメリカで牛乳配送を効率的に行うため、1台の車が各家庭を順番に回った配送方法に由来する。「調達物流」とも呼ぶ。
初物(はつもの)
日々の生産において、段取替えや、作業者の交代後に初めて生産される製品のこと。初物が良品であれば、以降に生産された製品も良品であると考えることができる。一般的に何かしらの変化点があった場合に不良が発生しやすいため、品質管理の観点から初物管理が重要視されている。
標準(ひょうじゅん)
現時点で最善とされる各作業のやり方のことで、作業者はこれに基づき仕事を行う。例として作業要領書などが挙げられる。
標準作業(ひょうじゅんさぎょう)
ジャストインタイムの考えに基づき、各工程で定められているもの。1台を何分で作らなければいけないかという「サイクルタイム」、作業を行う順番が決められた「作業順序」、作業を行うための必要最小限の工程間在庫である「標準手持ち」の3要素から成る。
プラットフォーム
同等サイズの車種別に共通化されて採用されている、ボディやパワートレインなどを一体化したもの。現在はTNGAというプラットフォームが開発されている。
平準化生産(へいじゅんかせいさん)
JIT(ジャストインタイム)のベースとなる考えで、日々の生産数を月間必要数から逆算し、均一化して生産するという生産方法のこと。4Mにあたる、作業者・設備・材料・作業方法を安定化させることで、イレギュラーによる材料の欠品や過剰在庫を防ぐことができる。一方、品番別にまとめて生産する方式を、「ダンゴ生産」と呼ぶ。
ポカヨケ
品質不良や設備故障を防止するために設定された、異常が発生した際にラインを止めたり不良品をはじいたりするシステムのこと。
補給(ほきゅう)
修理用のパーツのことで、サービスパーツとも呼ぶ。号口生産と並行して流動する号口補給と、号口生産が終了してからアフターケア用のみで流動する旧型補給の2パターンがある。旧型補給としての製造義務は10〜15年続くため、サプライヤーにおいては金型を長期間保管しておかなければならないという問題がある。
臨時かんばん(りんじかんばん)
通常生産分より多く必要とする部品の生産や引取りを指示するかんばんのこと。稼働停止の挽回生産や、土曜日の生産のために使用される。略して「臨かん」とも呼ばれる。
横展(よこてん)
横展開の略。成功事例などを他製品・他部署へ水平方向に伝えて、同じように実施することで、効率的な改善を行うことができる。
4M
製造工程において品質のばらつきを生む大きな原因となる、作業者(Man)・設備(Machine)・材料(Material)・作業方法(Method)のこと。測定(Measurement)を加えて5Mと呼ぶ場合もある。
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